レプリカ 油彩による模写

古典から学ぶ

油彩画の技法を学ぶにあたって、古典絵画や現在作家の作品の模写をよくしています。レプリカの制作は、新しく開発したオリジナルの支持体やメディウムを試すのにもお手軽な手段です。

 

フェルメール

『牛乳を注ぐ女』

フェルメール『牛乳を注ぐ女』
フェルメールの『牛乳を注ぐ女』の模写。
F8号のキャンバスに油彩で描いています。

 

オリジナル 1658〜59年 
油彩 カンヴァス 460mmx410mm 
アムステルダム国立美術館所蔵

 

レプリカ 2016年  油彩 
カンヴァスにジェッソ 
F8(455x380mm) 非売品

 

『牛乳を注ぐ女』は、オランダ黄金時代の画家ヨハネス・フェルメールが1657年ごろに描いた絵画。キャンバスに油彩で描かれた作品で、アムステルダムのアムステルダム国立美術館が所蔵している。アムステルダム国立美術館はこの作品のことを「疑問の余地なく当美術館でもっとも魅力的な作品の一つ」としている。(ウィキペディア)

 

古典技法と現代技法と併用
このレプリカは、静南美術研究所河村嚴生先生の御指導のもと古典技法と現代技法を併用して描いた。市販のキャンバスにジェッソで下塗りをし、樹脂を含まぬメディウムを使って描くという現代的な描き方と、グレーズを多用するという古典的な画法の併用画法で描いた。この方法であれば、古典的な支持体やメディウムを用意しなくとも古典的な画法を学習することができる。

 

レプリカは、古典画法を学ぼうとする油彩画の初学者にとっては大変有効な学習方法。レプリカに挑戦したい方は独学で始める前に一度静南美術研究所の門を叩いてみると良い。

 

静南美術研究所 Gallery Seinan 
静岡市駿河区西脇1291-1 
TEL054-654-8288

 

フェルメールと透視図法 1

フェルメールと透視図法
ヨハネス・フェルメールの『牛乳を注ぐ女』について、建築パース(建築画)の仕事に長いこと従事してき職人的絵師から見た一考察。レプリカ作成に当たって実物第のポスターを取り寄せ、じっくりと観察した。

 

その時、最初に違和感を抱いたのが、窓の部材のパースラインの狂いだった。この絵には他にもパースラインの狂いが幾つか見受けられる。他のパースラインがやたらと正確なのでより目立ってしまう。模写なのだから、そのまま描き写す事にしたのだが、どうも気になって仕方がない。パース屋(建築画家)の性なのだろう。一種の職業病だといえる。

 

パースラインの抽出
図1はフェルメールの描いた原画。

 

図2は、原画から主要な線を抽出し、消失線と消失点を求めた図になる。部屋の消失点VPの他に2つの消失点VP2とVP3がある。図3は、パースラインを透視図法に基づき補正した線画。

 

図2(原画から抽出した線画)と図3(補正した線画)の違いがおわかりだろうか?

 

図4はパースラインに微調整が加えられた4本の線を表している。窓の一番上のサッシのラインと窓下部の部材の線に調整が加えられている。

 

図5は図2(原画から抽出した線画)と図3(補正した線画)を重ね合わせた線画になる。青の線が、透視図法に基づいて書き直した線。

 

パースラインの補正
フェルメールは、一度透視図法に基づいて下絵を書いた後に、ある目的のためにパースラインに微調整を施したのだと推測する。テーブルと窓の部材に加えられた調整は、奥行を強調するために施したのだと考えられる。また、窓のサッシに加えられた微調整は、きつめのパースラインを緩やかにするために施した調整であろうかと思われる。不自然な窓のパースラインの補正窓のパースラインに調整を加えた際に、部屋の消失点VPに向かう4本のサッシの線に修正を加えなかったがために、不自然さを作り出している。この不自然さを解消するために、この4本のサッシの線に補正を加えて書き直してみた。

 

図6では、消失点の代わりに消失面を用意した。

 

図7では、より自然に見える様にサッシの線を引き直した。

 

図8が補正を施した図になる。この様にすれば、窓のパースラインの不自然さは軽減される。

 

テーブルの補正
フェルメールはなぜ、テーブルにこの様な補正を施こしたのだろうか?画面に向かって真っ直ぐに見ているのであれば、テーブルの形は図3の様に見る。しかし、テーブルに注意を向け目線をテーブルの上面に向けると、フェルメールが補正した図2の様にテーブルが見える。実際にテーブルの模型を作って、写真に撮ってみた。写真機は単眼であり、人間の目は両眼であるとの違いはあるが、目線をテーブルに向けた時の変化がよくわかるかと思う。(図9と図10)興味のある方は、図にある様なテーブルの模型を作り確かめみるとよい。(図11)

 

視線誘導
フェルメールは、絵を見る人の注意が自然とテーブルの上面に向くようにこの様な補正を施したのだと考えられる。鑑賞者の視線は最初に自然と緻密に描かれたテーブルの上のパンに惹きつけられる。次にやはり緻密に描かれた背景のカゴに視線が誘導される。その後鑑賞者の目は人物の顔から、陶器の壺に移り、螺旋を描きながら注がれるミルクに惹きつけられる。そしてまた、パンから同じルートをたどり視線は循環してゆく。時間が止まったような静謐な空間の中で、唯一動きを感じさせるのが、壺から螺旋を描きながら陶器の容器に注がれるミルクの流れ。このミルクを中心に鑑賞者の目は絵の中を彷徨う。見ていて飽きのこない見事な仕掛け。

 

フェルメールと線透視図法
フェルメールは当時の教会内部を描く都市景観画家たちの影響から、線透視図法を学んでいたであろうと推測される。フェルメールの作品の多くは、その図法の正確さからあらかじめ用意した図面を元に室内の線画を描き起こしているのがよく分かる。複数の図面を用意し使い分けていたのだとする研究者もいる。

 

フェルメールと図像学(イコノグラフィー)
この絵に散りばめられた小物には、当時の風俗画の多くがそうであった様にさまざまな隠喩が含められている。これらの隠された暗号を読み取り、作者の意図した意味を推測するのが、古い時代の絵画鑑賞の一つの楽しみでもあった。ここで『牛乳を注ぐ女』に込められた暗喩について解説するような無粋なことはしない。興味のある方は書籍やネットで調べてみると良い。絵を鑑賞する、新しい視点を発見することになるかもしれません。

 

『水差しを持つ女』

フェルメールの『水差しを持つ女』の模写です。
板にキャンバスを張り白亜で地塗りをした半吸収性の支持体を自作しました。サイズは:44.5×39.5cmです。本物よりもタテヨコのサイズを1cm以上小さくしています。縦横比はほぼ同じとしています。メディウムはブラックオイルを作り、メギルプを自作しました。ベースとした乾性油はリンシードオイルです。
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オリジナル1663〜65年 油彩 
カンヴァス 457x406mm
メトロポリタン美術館 所蔵 

 

レプリカ 2016年 油彩 
板に麻布 白亜地 
変形(446x395m)
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『窓辺で水差しを持つ女』の隠喩
左から光が差す室内に立つ女性という、おなじみのテーマである。女性は右手を窓枠にかけ、左手でテーブルの上の水差し(純潔や節制の象徴とされる)の取っ手をつかむ。窓の外に水差しの水を捨てようとしているかに見える。テーブルの上の宝石箱は虚栄を表すモチーフである。女性は「節制」を捨て、「虚栄」に走るべきかどうかの岐路に立っているのであろうか。
(ウィキペディア)

 

古典技法の学習教材
古典技法を習得するための良い教材がある。オススメです。支持体の作り方から、メディウム、絵具についてまで詳しく知ることができる。手順通りに従って描けば油彩画初学者でも容易に描ける紹介されている。


[DVD名画に学ぶ油彩画技法シリーズ]
第一巻 フェルメール「レースを編む女」
合資会社 俵屋工房 高橋 亮馬 監修

フェルメールと透視図法 2

補正されたテーブル
この絵には『牛乳を注ぐ女』と同じ六角形テーブルが描かれています(図1参照)。このテーブルの本来見えるはずのない左側面が描かれています。パースラインに補正を加えているのです。これは、窓のある壁とテーブルとの間の空間を強調し、行き感を出すために施した補正だと思われます。

 

消失点の抽出
先ず、窓の枠から開いた窓の消失点と消失線を求めます。次に部屋の消失点とテーブルの消失点を求めます。(図2参照)このテーブルが例の六角系のテーブルであるとするならば、テーブルの消失点は、部屋の消失点と同じ位置に来るはずです。(図3参照)ピンクの線で描かれたテーブルの形状が線透視図法による正しい形状となります。この様な微調整を、フェルメールは『牛乳を注ぐ女』でも行っています。窓のサッシと、六角系のテーブルにその後が見られます。

 

『真珠の耳飾りの少女』

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』の模写です。
F8キャンバスに油彩で描いています。
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オリジナル 1665〜66年 油彩 
カンヴァス 470x400mm
マウリッツハイス美術館が所蔵
(オランダ デン・ハーグ)

 

レプリカ 2016年 油彩 
カンヴァスにジェッソ
F8(455x380mm)  
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古典技法と現代技法と併用
静南美術研究所河村嚴生先生の御指導のもと古典技法と現代技法を併用して描いた二枚目の模写。フェルメールの『牛乳を注ぐ女』に次いで二度目の挑戦となる。耳飾りの真珠がやけに大きく、丸くもなく、やたらと光っているので気になりながら描いていた。後で調べたところ、耳飾りは真珠ではなくて、ドロップ型のガラス玉であるとわかった。古典作品の模写は一度やってみると分かると思うのだが、そこから学ぶ事がたくさんある。油彩画や人物がの初学者にとっては、大変有効な学習方法だと思う。静南美術研究所では、模写の指導もやっている。問い合わせ先は下記に記しておく。

 

静南美術研究所 Gallery Seinan  
静岡市駿河区西脇1291-1 
TEL054-654-8288

 

理想の女性像「トローニー」
この作品はフェルメールの代表作の一つで、『青いターバンの少女』・『ターバンを巻いた少女』とも呼ばれ、オランダのデン・ハーグのマ>ウリッツハイス美術館が所蔵する。口元にかすかな笑みを湛えるかのようにも見えるところから「北のモナ・リザ」「オランダのモナ・リザ」とも称される。

 

描かれた少女が誰かはわからないが、これは「肖像画」ではなく、「トローニー」という独自の様式に分類される。モデルなしに想像で描いたものか、実際にモデルはいても、肖像画のようにその人物の地位や名声を表面に押し出す必要がない、そのため画家が自由に描く事ができるものである。
(ウィキペディア)

 

元祖萌えキャラ
モデルを使わないで理想の女性像を描く事はアニメや漫画、ゲームなどのサブカルチャーの世界では盛んに行われている。いわゆる萌えキャラと呼ばれている。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は彼にとっての理想の2次元嫁であったのだろう。

 

綿入れとフェルメール
真珠の耳飾りの少女の着ている服は、日本の綿入れ半纏(丹前)。日本の丹前は当時オランダの富裕層の間で室内防寒着として流行った。その後、17世紀末までにはヨーロッパ中に普及した。他のフェルメール作品「地理学者」「天文学者」の人物も同様の着物を着ている。また、「画家のアトリエ(絵画芸術の寓意)」のモデルも和服らしき着物を着ている。

 

フェルメールとラピスラズリ
フェルメールは当時、同量の金と同じ価格がしたと言われているラピスラズリから抽出した鮮やかな青い色の絵の具をふんだんに使っていた。この作品でも、ターバンの青にラピスラズリが使われている。レプリカでは、ターバンにほんの少しだけ俵屋工房製のラピスラズリを使ってみた。俵屋工房製のラピスラズリは実に綺麗な発色の良い色をしている。

 

『小路』

フェルメールの『小路』の模写です。
支持体サイズは、サイズ:52.0×42.0cmです。実際のサイズより1cm以上小さく作ってあります。シナベニヤを角材で補強し、キャンバスを貼ってあります。白亜地の上に半吸収性の下地を施しています。メディウムは、自作のメギルプとオリジナルのメディウムを使っています。
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オリジナル 1658〜60年 油彩 
カンヴァス 543x440mm
アムステルダム国立美術館が所蔵  

 

レプリカ 2016年 油彩 
板に麻布
白亜地 変形(532x429m) 
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フェルメールの風景画
フェルメールの2点しか現存しない風景画のうちの1つ(もう1点は『デルフトの眺望』)。デルフト市内のどこで描かれたかについては諸説あり、特定の場所を描いたものではないとする説も有力である。
(ウィキペディア)

 

デルフト大爆発
1654年5月18日オランダのデルフトで火薬庫に蓄えられていた40tの火薬が爆発、市街の大部分が破壊された。約1,200人が死亡し、1,000人以上の負傷者が出た。
(ウィキペディア)

 

デルフトに対するオマージュ
フェルメールは、当時流行であった都市景観図に果敢に挑戦しながらも二枚しか残していない。実際は3枚あったとする説もあるが現存していない。デルフトはオランダの数ある都市の中でも『真珠』と讃えられていた大変美しい街だ。フェルメールの残した2枚の都市景観図は火災で失われてしまった故郷の街デルフトの風景を永らく記憶に留めおくために、オマージュとして描かれたのではないかとする研究者もいる。

 

線透視図法で再現した理想都市景観図
2枚の都市景観図は、火災で消失してしまったデルフトの記憶を線透視図法を用いて街の特徴を備えた理想の都市景観図として描いたのではないだろうか?図面や空想(想像)を元に都市の風景を描く絵を『奇想画』(カプリッチョ)と呼び、18世紀ベネチアの都市景観図を描いたカナレットがこの手の作品を多く残している。『奇想画』の技術は現代の建築画の専門職であるパースやさんやアニメの背景画を描く背景画屋さんたちに受け継がれている。

 

自作メディウム
この絵に使った基底材や支持体やメディウムは自作している。着彩の初期段階ではメギルプと呼ばれるジェルメディウムを使っている。仕上げ段階では3種類の樹脂を含むメディウムを使用している。古典絵画の手法を学ぶためには支持体とメディウムの自作は避けて通ることはできない。メギルプを造る為には最初にブラックオイルを作る必要がある。約1時間半毒性のある鉛白を混ぜ込んだ乾性油を180度の高温で熱し続けると出来るのだが、とても臭い。周囲に気を使う厄介な作業となる。気軽に人に頼める作業ではない。DIYあるのみである。

 

参考書
古典絵画を学ぶにあたり先ずは松川宜弘さんのHP『西洋絵画の画材と技法』に訪れ、熟読されることを推奨する。教科書としては『巨匠に学ぶ絵画技法』J・シェパード (著) をお勧めする。この本にはメギルプの製法が書いてある。この本はすでに絶版となっている。しかし、2017年夏現在古書市場でまだ入手することはできる。英語版で良ければ出版されている。私は地元で通う静南美術研究所の書架でこの本を見つけ学んだ。

 

参考:『西洋絵画の材料と技法』

 

『レースを編む女』

技法DVDを取り寄せて、フェルメールの『レースを編む女』を描いてみました。今では忘れ去られてしまった、かつての工房で培われた古の技法により描かれています。サイズは、縦262mm横224mm。基底材には9mm厚のシナベニヤを使っています。

 

基底材の選び方、支持体のつくり方に始まり、白亜地塗り、半吸収性下地の地塗り、デッサンの転写、下塗り、本制作、仕上げ、最終仕上げ(お化粧)、ニス引き、額装まで懇切丁寧に解説されています。

 

各段階を順を追ってテキスト通りに作業を進めると、次第に完成度が高まってきます。美大出身者ではない、工学部卒の僕でも描けました。

 

メディウムは、俵屋工房製を使っています。RT.ペンティングメディウム[No.1]
RT.ペンティングメディウム[No.2]

 

RT.ペンティングメディウムは、レシピが公開されているので、市販品を使った代用品を作ることができます。

 

ブルーの部分は、一部ラピスラズリを使用しています。DVDを買ったときにおまけて付いてきました。
(2017年のクリスマスまでの期間限定)

 

顔料:アフガニスタン製ラピスラズリ

 

フレークホワイトは、ベルギーブロックス社製のフレークホワイトを油抜きしてからスタンドオイル(ポピー)で練り直して使いました。

 

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あなたにも描ける
DVD 名画に学ぶ油彩画技法シリーズ
フランス・ルーブル美術館特集
フェルメール
第一巻 [レースを編む女]
合資会社 俵屋工房

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[DVD名画に学ぶ油彩画技法シリーズ]
第一巻 フェルメール「レースを編む女」
合資会社 俵屋工房 高橋 亮馬 監修

ブーグロー

『Woman with a Sea-shell』

ブグローの『Woman with a Sea-shell』の模写です。P12号の水張りパネルにジェッソで地塗りをしています。メディウムの使い方に慣れていなくて、随分と苦労しました。
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オリジナル 1885年 油彩 
カンヴァス 1310x865mm 
個人蔵
レプリカ 2016年 油彩 
板にジェッソ  
M12(606x410mm)
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古典技法と現代技法と併用
静南美術研究所河村嚴生先生の御指導のもと、古典技法と現代技法を併用して描いた。板に初めて描いたレプリカ。カンヴァスに描くのに比べ初めは戸惑いがあった。始めダンマル樹脂の入った市販のペンティングオイルを使ってみたのだが、乾きが早く描きにくかった。後半、マスチック樹脂とコーパル樹脂、バルサムを適度に配合したメディウムを使ってみた。乾性油にはリンシードオイルとスタンドオイルを2:1で配合した。この配合により板のような滑らかな画面でも描きやすくなった。油彩画の初学者にとり古典作品の模写は大変有効な学習方法だと思う。

 

参考:
静南美術研究所 Gallery Seinan 
静岡市駿河区西脇1291-1 
TEL054-654-8288

 

顔の習作

ブグローの『習作』の模写です。プリマ描きの練習です。横顔で約3時間、その他は6時間ほど掛かりました。ご本人は2時間ほどで仕上げてしまったそうな。F6のキャンバスボードにジェッソで下地を作り、テレピンで溶いた油絵具で地塗りをしています。メディウムは、プリマ描き用に作成したオリジナルです。

ルーベンス

『麦わら帽子』

ルーベンスの最も良く知られる代表的な肖像作品『麦わら帽子(シュザンヌ・フールマンの肖像)』の模写です。古典絵画のレプリカ作成のための解説ビデオに従って模写しました。サイズはP12号です。支持体の作り方から始まり、今節丁寧に解説されています。

 

 
参考:『17世紀・ルーベンスの技法』
合資会社 俵屋工房

 

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オリジナル 1622〜25年 油彩
板 790x540mm
ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵  
レプリカ 2016年 油彩
板に麻布 半吸収性下地
M12(606x410mm)
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ルーベンスの代表的肖像作品
『麦わら帽子』は、ルーベンスが最初の妻イザベラ・ブラントと死別した数十年後に再婚した二番目の妻エレーヌ・フールマンの姉シュザンヌ・フールマンを描いた作品。本来はフェルト帽を被っているのが18世紀末より『麦わら帽子』との愛称で呼ばれてきた。

 

「フランダースの犬」
ルーベンスはアニメ「フランダースの犬」のネロが憧れていた画家。「聖母被昇天」は最終回でに登場する。大聖堂でネロとパトラッシュが天に召されるシーンで取り上げられた。

 

油彩画古典技法シリーズ
俵屋工房の油彩画古典技法シリーズ(*2)のDVDを参考に描いた。オリジナル作品は人物以外はかなりざっくりとした荒い筆使いで描いている。こういったところがうまく再現できなかった。荒いタッチを表現するべく無駄な加筆をしてみたり、実際は地の色が見えている箇所を後からそれらしく見せるように地の色を描き足してみたりと、筆数が多すぎてしまった。この作品のレプリカには再挑戦したい。

 

古典技法の独学
教本のDVDは今節丁寧な説明がなされており、古典技法を独学で学ぼうとする油彩画初学者にとって大変役に立つ教材。この教材には支持体の作り方から図柄の転写方法、絵具の選び方やメディウムにおける樹脂の重要性、全体の作業工程におけるテレピンとメディウムの配合比、筆の使い方まで詳細にわたり解説されている。また、このシリーズは最近続編が製作されることになった。興味があれば俵屋工房のサイトを訪れると良い。

 

メディウム
教材に使うメディウムは俵屋工房の通販サイトで入手することができる。また、市販品のみを使ってメディウムを配合するための秘伝のレシピも俵屋工房の高橋氏によりネット上に公開されている。興味があれば探してみると良い。

 

参考:
国立博物館で複製画を描いてきた
絵師が巨匠たちの技術を伝えたい


名画の複製に挑戦
[17世紀・ルーベンスの技法]
合資会社 俵屋工房
高橋 亮馬 監修

レンブラント

『石橋のある風景』

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オリジナル 1676〜38年 油彩 
樫材 295x425mm 
アムステルダム国立美術館所蔵

 

レプリカ 2017年 油彩 
板に膠 マスチックヴァニス  
変形200x300mm  
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板に描く
レンブラントのオリジナル作品は、樫の板に油彩で描かれており、板の木目を活かして雲の躍動感をうまく表現している。レプリカ作成のために用意した板は、大工センターで探してきた彫刻用の版木。なるべく木目のある板を選んだのだが、筆数が多くなりすぎ木目を十分に活かしきれなかった。

 

地塗り
最初にラビットスキンの膠液を2度塗布している。一度目の塗布ののち自然乾燥させ2度目を塗布する。さらに乾燥させてから「マスチックヴァニスを塗布する。その後よく乾かしてから描画の作業に入る。マスチックヴァニスの代わりにコーパルヴァニスを使っても良い。マスチックヴァニスは無色透明。コーパルヴァニスは褐色。好みで使い分けると良い。この方法は俵屋工房の高橋亮馬氏に教えていただいた。コーパルヴァニスは市販されていないが、ランニング済みのコーパル樹脂は画材屋さんで入手できる。コーパルヴァニスは、コーパルガムをターペンタインに溶解して造る。

 

 

この作品に使用したメディウムは、長年国立博物館で複製画を描いてきた絵師である俵屋工房の高橋亮馬氏のご好意により公開された秘伝のレシピをもとに作成した。これを『高橋メディウム』と呼んでいる。配合比は次のとおり

 

『高橋メディウム』

           (重量比)
樹脂 
バルサム         8%  
マスチックバニス     7%  
フラマン         5% 
乾性油 
コールドプレスド
リンシード        37% 
スタンドリンシード    10%
精油
ターペンタイン      28%  
アスピック         5%

材料は全て市販品で揃う。

ホルベイン
画用液
ベネシャン ターペンタイン
55ml

クサカベ
画用液
マスチックバニス
55ml

ルフラン&ブルジョア
油絵具
フレミッシュ シッカチーフ メディウム
250ml

Winsor&Newton
油絵画用液
コールドプレスドリンシードオイル
75ml

ホルベイン
画用液
スタンドリンシードオイル
55ml

クサカベ
画用液
テレピン
500ml

ホルベイン
画溶液
スパイクラベンダー
55ml

 

RT.ペンティングメディウムNo.1-No.2

俵屋工房の通販サイトでは、高橋氏オリジナルの画溶液[RT.ペンティングメディウムNo.1-No.2]が市販されている。メディウムを自作する前に、一度本物のメディウムに触れておくと良いかと思う。少量生産なので品切れの場合もある。

 

いずれにしろ古典画法を学びたいのであれば、メディウムの自作は最低限必要なことだと言える。メディウム製作の他にも支持体作りをしなくてはならない。古典画法には実に手間と時間が掛かる。


RT.ペンティング
メディウム
[No.1] 50ml
[No.2] 50ml
(資)俵屋工房

 

カナレット

『オールド・ウォールトン橋』

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オリジナル 1754年 油彩
カンヴァ 488x767mm 
ダリッジ・ピクチャー・ギャラリー所蔵

 

レプリカ 2017年 油彩 
板に膠 マスチックヴァニス
SM(158x227mm)      
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細密に描
オリジナルの絵の横幅は767mmある。これを横の長さが約1/3以下のサムホールサイズでレプリカを作成した。日本の居住空間には大きな絵の掛けられる場所は少ない。そのため小さな絵が求められる。そして日本人は伝統的に緻密な表現を好む。油彩画の古典技法を学べば細密な絵は描ける。同じ絵を同じサイズで俵屋工房の高橋亮馬氏も描いている。

 

カナレット(ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール) 
1697年10月7日 - 1768年4月19日
カナレットはヴェネツィア共和国の景観画家、版画家。都市景観画を得意とした。生地ヴェネツィアをパノラマ風に描き光や大気の効果を巧みに表現した。

 

オールド・ウォルトン橋
オールド・ウォルトン橋はテムズ川を横断して建設された最初のウォルトン橋。この木製の橋は 1750 年に完成し1783 年まで立っていた。その後石で覆われたレンガ製の橋に道を譲った。この橋はターナーが絵に描いた。

 

風景の中の人物
絵の中央の川の堤防の近くに 2 人の人物が傍に立っているのが見える。 左が絵の依頼者のトーマス・ホリス 。彼の右にいるのが彼の一生の友人で後継者のトーマス・ブランド 。 更に右にいるカラフルなお仕着せを着た人は彼の召使のフランシスコ・ジョバンニ 。ホリスの足元には飼い犬のマルタ がいる。 中央のグループから少し離れて腰を下ろしているのは (牛が肩越しに見ている) 画家でカナレット自身と思われる。風景画に人物をいれると賑やかで華やかになる。

フランク・フラゼッタ

『SAVAGE PELLUCIDER』

Frank Frazetta, 1928年2月9日 - 2010年5月10日
SAVAGE PELLUCIDER 
F4 キャンバスボードに油彩

 

『SAVAGE PELLUCIDER』

Frank Frazetta, 1928年2月9日 - 2010年5月10日
SAVAGE PELLUCIDER 
F6 キャンバスボードに油彩

 

『OUTLAW OF TONN』

Frank Frazetta, 1928年2月9日 - 2010年5月10日
OUTLAW OF TONN
P8 キャンバスに油彩

 

『Sun Goddess』

Frank Frazetta, 1928年2月9日 - 2010年5月10日
Sun Goddess 
P10 板に油彩 高橋メディウム使用
フラゼッタの描いた太陽の女神、天照大御神

ボリス・バレホ

『Invictus』

ボリス・バレホ 
Invictus
油彩 高橋メディウム 板 サイズ M10

 

『At the end of the world』

ボリス・バレホ 
At the end of the world
油彩 高橋メディウム 板 サイズ F10

 

画集 MIRAGEより

ボリス・バレホ
画集 MIRAGEより 
油彩 高橋メディウム 板 サイズ M10

日本人作家の模写

『はじめての海』

石川和男 『はじめての海』 F10

 

美術の窓2016年7月号
水を描く(秘)技法講座vol.46 case4

 

独立展の作家石川和男氏による、雲と海の描き方講座。地塗りの仕方から、メディウムの調合、使っている絵の具の種類まで完全公開されている。雲のモクモク感がなかなかむつかしい。

 

『オルタ・サン・ジュリオ 』

『オルタ・サン・ジュリオ 』笹倉鉄平 S25

 

「光の情景画家」として知られる笹倉鉄平氏の作品の油彩による模写です。笹倉氏は、お気に入りの作家さんのお一人です。この作品のシルクスクリーンはお高くてとてもてが出ないので、お部屋に飾る目的で少し小さめに描いてみました。色調は少し変えてあります。

 

支持体はシナベニヤの水張り用のパネル。
地塗りは、白亜地に油彩。
サイズは25S(803mmX803)

 

水張りパネルに直に描くのは少し問題がありそうです。合版に使われている接着剤は精油によって溶けてしまう可能性があります。ですから、本当は麻布を張ってから地塗りをして描いたほうが良さそうでした。

神示解読用資料